雨粒と自転車の狂騒曲
今日は久しぶりに分かりやすいテーマ。
テーマは「寒さ」だ。
mylifeisbeautiful.hatenablog.com
ここには良いことが書いてある。
寒いから、動く。
筆者が体験した、去年の冬の話をしよう。
去年は、アムステルダムの大学で勉強していた。
学生寮から大学へは、オランダ自慢の自転車である。
ある冬の日、空は朝から真っ暗だった。
あつーいあつーーい雲に覆われていた。
徒歩30分、自転車で10分の道のり。
外気温はどのくらいだっただろうか。
おそらく0度前後だっただろう。
そして、いつも通りの強風、例えば70km/hぐらい。
大学に行くまではよかった。
幸いにも、雨も降っていない。
講義を終えて、友達と提出課題をこなす。
コンピュータルームで、Stataをいじりながら、解答案を作る。
授業の話は、また今度にしよう。
そして、外も真っ暗になった、6時くらいであろうか。
もうお腹はペコペコ。
みんなで、家路へ向かう。
外は、したたかに雨が降っている。
まさしく殺人的である。
オランダ人の友達は、遠方に住んでおり電車を使う。
近くのトラムの駅からは快適な電車旅が待っている。
いや、そもそもオランダ人は悪天候に慣れている。
最寄りの電車の駅についたら、どうするのだろう。
今思うに、駅から徒歩かバスで帰れる距離に住んでいなかったら自転車だろう。
人によっては、近くの高校に通うために1時間自転車に乗るという。
夏は爽快にしても、まさに「アメニモマケズカゼニモマケズ」という言葉を連想させる。
さて、話を冬の場面に戻す。
そこで、筆者はひとり戸惑った。
この痛快な雨のなかを、自転車で帰るか否か。
もちろん、できることならしたくない。
ほかの手立てを考えてみよう。
しばらく大学で待機することができる。
しかし、この雨が2時間待って止む保証はない。
何より、お腹が減っているのだ。
そんな思案を連日重ねるうち、人間の感性は適応する。
Just Do It!!
ということで、外に出る。
もちろん傘は使わない。
パーカーを目深く被り、自転車のライトをつける。
そして、その荒れた、冷たい雨のなかへ飛び出すのだ。
飛び出してしまえば、あとは足を動かす。
身体を動かし、目的地を目指す。
最大の障害は、目に飛び込んでくる雨粒だ。
逆風の時など、時速100kmはあるのではないか。
メガネを鼻の上に持ち上げ、防御を試みる。
しかし、自転車を必死にこぐあまりの皮脂と、降り注ぐ雨露のコンビネーションに、あっという間にメガネは元の位置へ落ちる。
もう大学を出たら、一直線だ。
スーパーに寄りたければ、寄ればよい。
しかし、どこにも避難はできない。
避難をしても意味がない。
なぜなら、もう身体は濡れている。
きっと、いつか部屋へ戻れる。
そして、自転車をこぐことによって、その目的は達成される。
ここで、皆さんには部屋に帰ったあとのオランダ人の気持ちを想像していただきたい。
オランダの冬は長い。
筆者が推測するに、オランダ人は独特な「しなやかに強靭な感性」を獲得した。
この一連のストーリーから学べることを考えたい。
筆者は、二つのポイントを見出した。
- とりあえずヤバそうでも、やってみる
- やりだしたら、とりあえずやる☆
雨が降っているとわかっているなか、自転車にまたがる。
どんなことが起きるか、馬鹿でもわかる。
それでも、覚悟を決めて進む。
こういった場面に、覚悟という言葉はよくフィットする。
そして、自転車道へ出たら、あとは進む。
根気よく。
どれだけの雨粒が目に入ろうとも、ひたすらに前へ。
これがオランダ流の、冬の楽しみ方である。
去年は、あまりにもひどい雨に、雨粒が気にならない境地に達した。
そして、その翌日に冬は明け、春を迎えた。
↑これは冬の"okay"な天気。10点満点中6.5点ぐらい。